4人の刑事(デカ)

~2011年スキーツアー事件簿

■主なキャスト

パン君 ・・・ 大山敏行
ビンディング ・・・ 二村修二
チェーン ・・・ 廣瀬正利
ケータイ ・・・ 塚口健一

■その他のキャスト

所轄の刑事 ・・・ 廣瀬夕子
不二子ちゃん ・・・ 大山由布子
少女の母 ・・・ 二村宏子
少女・・・ ミキティ(仮名)
子どもたち・・・ 子どもたち

■ストーリー

♪テッテッテェ~ テッテッテェ~ (「太陽にほえろ」風オープニング」)

久しぶりの再会に心躍らせていた彼らは、この後に起こる様々な事件を予想する者など誰もいなかった。

ベテラン刑事(のはず)・パン君は今日もKY行動を炸裂させていた。
車が止まる度に買い物を繰り返し、その度に食うわ飲むわ、本来団体行動であるはずのみんなの時間を完全に支配していた。7時には朝飯を平らげ、そしてまた10時には弁当をチンして温め、誰よりも早く昼食を取り、ことごとく皆を待たせていた。

その後ツアーは順調に進んだかに見えたが、白樺湖手前の峠に差し掛かると天候は一変し、例年にない早いタイミングでチェーンを装着する事となった。
この先の出来事を予見するかのような大雪が舞う中、ペンションに向かった。

無事に着替えを終え、スキー場に向かった一向は吹雪の中スキーを開始した。
それぞれ思い思いにスキーを楽しむ中、二村刑事は一人寂しくスノボの練習。
だが、持参した15年もののポンコツスノーボードが予想どおり破損。ビンディングが壊れ、どうすることも出来ず、仲間の救援を待ち続けた。
命名:ビンディング

孤独に耐え切れず、休憩所で早くもビールを飲もうか迷ったのは言うまでもない。

夕暮れも近づく中、帰りの集合場所にスキー初挑戦の少女(ミキティ(仮名))が現れず、心配していたところ、現場に付き添っていた所轄の刑事(廣瀬夕子)から1本の無線が入った。
どうやら、予想以上の苛酷な環境によって完全にブルーになった少女がお手上げ状態となり、超スローペースでゲレンデを下っているとのこと。

その状況を不安げにゲレンデの下から見上げる刑事たちの目に飛び込んだのは、7台のスノーモービルと圧雪車を従え、悠然と滑りおりる少女の姿だった。
傍らにはそれを懸命に励ましながら誘導する少女の母(二村宏子)の姿もあった。
すでに照明は煌々と照り、ゲレンデは完全にナイター状態であった。

その頃、別の現場ではさらなる驚愕の事件が起きていた。
廣瀬刑事が子どもたちを先にペンションに送ろうと出発したまでは良かったが、ペンション手前の坂道で突然車がスタック。異常に気付き車を降りてタイヤを確認すると、なんと左側のチェーンが消えていた。
大人は彼一人、同乗していたのは中学生の女子二人と小学生の男子二人。
しばし呆然とその場に立ちすくんでいた。
命名:チェーン

何度かトライはしたもののもタイヤは空転、ゴムの焦げた匂いが辺りに充満。
最悪の状況に車内の雰囲気は悪くなるばかり・・・

しかしその時、子どもたちから「みんなで車を押そうよ!」という声が!!
不安を抱きながらも意を決してチャレンジ。そして奇跡は起こった。
見事に車はその場を脱出。ペンション近くまで車を押したその距離約20m。
その場は感動に包まれた。
チェーンの細い目は涙でうるんでいた。

(後日談ではあるが、カッコ付けて子ども達に駐車場でスピンターンを披露し、チェーン脱落はその際の影響が大きかったと思われる。尚、他の刑事や所轄の刑事にはその報告は一切あがっていなかった)

消えたチェーンを探しにふたたびスキー場に戻ろうとしていたその時、ひとりの刑事から無線が入った。
先ほどの少女の事件などもあり、ゲレンデにで待つみんなの出発はかなり遅れそうとのことであった。
チェーン事件についてもこちらから報告をおこない、現場はさらに混沌としていった。

ほどなくして、スキー場に到着すると少女は無事に保護されていた。
一報を受けた所轄の刑事は、すでにチェーンの捜索を開始してくれていた。
その様子を横目に皆に合流しようとしていたチェーン刑事の携帯電話が突然鳴り響いた。ペンションからの連絡であった。この寒さで水道管が故障し、2つある風呂の内、なんと片方が使えないとのこと。
トラブルに拍車をかけた。

その後もチェーン刑事と所轄の刑事は夜の道を歩いてチェーンを探し続けたが、結局この日は見つからず、やむなく捜索を断念した。

ペンションに到着し、30分遅れはしたものの、食事と歓談を大いに楽しみ、その後は恒例のおとな2次会を開催。
夜中まで続いた宴会では不二子ちゃん(大山由布子)の高らかな笑い声が館内中に響き渡っていた。(ペンションが貸切なのは幸いであった)

そして迎えた2日目。
まだ薄暗い早朝に目を覚ましたチェーン刑事は、散歩と見せかけ、チェーンの捜索に向かった。
一人寂しくスキー場の駐車場に到着した彼の目に飛び込んだのは巨大な除雪車であった。
運転手にチェーンが落ちていなかったかたずねると、あっさりと「あー落ちてたよ。」との答えが!
なんでも、駐車場の出口付近で除雪をしていたところ異物が絡まり、慌てて除雪車を降りて取り除いたのが、まさにそのチェーンであった。
絡まったチェーンをほどく際に引きちぎったとのことで万事休す。時すでに遅しであった。

重たい足取りで岐路に向かっていると、前からビンディング刑事の姿が・・・
物静かな彼は雰囲気を察したのか、チェーン刑事の肩をポンとたたき、二人は小さくうなずきながら朝陽をバックにペンションへと向かった。

朝食を済ませ、一向はゲレンデへと繰り出した。
尚、チェーン刑事は、忙しいペンションスタッフのDくんに無理を言って車に乗せてもらい、新しいチェーンを購入するために山を降りて街へと出かけて行った。心優しいⅮくんは顔にこそ出さなかったが、この繁忙期に面倒なことさすなと思っていたに違いない。

それぞれがスキーを楽しんでいる中、ここでさらなる驚愕の事件が発生。
所轄の刑事と不二子ちゃんが休憩しているところに塚口刑事が神妙な面持ちで現れ、「携帯を失くした・・・」との事。
命名:ケータイ

頂上付近の捜索に向かった塚口刑事をパン君刑事も追ったが、案の定、スキーの技術が追いつかず自分のことで精一杯。残念ながらまったく戦力にはならなかった。

その時、「携帯電話の落し物が届いています。」という放送がゲレンデに響き渡った。
見つかったのか!と思ったのも束の間・・・残念ながらその携帯は彼のものではなく、黒い機種であった。
彼の携帯はホワイトのボディにブルーのストラップ。この雪の中での捜索は困難を極めた。
捜索にあたった者たちは、口にこそ出さなかったが、「なんで白なんだよ・・・黒にしとけよ・・・」と理不尽なことを思ったに違いない。

塚口刑事とスキー初心者のパン君刑事では心配になり、所轄の刑事も捜査に加わったが、残念ながら見つけることは出来なかった。
所轄の刑事は2日間に渡り悪天候の中チェーンと携帯を探し続け、スキーツアーとは名ばかりの捜索活動で大いに活躍した。

こうして、今回のツアーでは例年にも増して様々な事件が起きたが、それらはすべて伝説となり、皆の胸に深く刻みこまれたことであろう。


 

原作・脚本:なつほパパ&ママ

■あとがき
この物語は、今回のツアーではほとんどスキーを滑る事が出来なかったパパと、2日間の捜索でこき使われたママが、帰宅後にお疲れさん会でビールを片手に交わした会話を基に書いたノンフィクションです。

2011/1/17 1:55am